10.「関の孫六」の文字商標と「六孫」の文字商標の意味が似ているとされ、商標登録されなかった事例

 

本件商標は、「関ノ孫六」の文字を縦書きしてなり、引用商標は、「孫六」の文字を左横書きにしてなるものである。

両商標を対比すると、証拠の記載事実によれば、本件商標の出願前から、「孫六」が関地方に在住した著名な刀匠(孫六兼元)もしくはその作による刀剣を指す名前であることは、すでに広く知られていたことが認められ、一般には「孫六」の名称から「関の孫六」の名称が想起されることが最も普通であると認められる。

そうすると、「関ノ孫六」の文字からなる本件商標と「孫六」の文字からなる引用商標とは、同じことが想起されることになり、両者は、観念を同じくするものである。

また、そうである以上、両者における要部は「孫六」の部分にあるというべきであるから、両者は、その外観、称呼においても類似する。