14.    「Afternoon Tea」の文字商標と「午後の紅茶」の文字商標の意味が似ているとされ、商標登録されなかった事例

 

本願商標は、「Afternoon Tea」の欧文字からなり、引用商標は、「午後の紅茶」の構成よりなるものである。

そこで検討するに、「Afternoon」が「午後」を意味し、「Tea」が「茶」又は「紅茶」を意味することは、我が国の一般人において極めて容易に認識し得るところであり、「Afternoon Tea」の英単語が、上記両単語の意味を合わせた「午後のお茶」又は「午後の紅茶」を意味することも、極めて当然なことといわなければならない。

また、原告店舗名として「Afternoon Tea/アフタヌーンティー」の標章が一定の周知性を獲得し、それに伴い、本願商標から原告の周知なブランド名としての観念が抽出されるとしても、そのことによって、前示のような本願商標の平易な日本語訳である「午後の紅茶」に即応した観念が生じることが否定されるものではない。

引用両商標は、最も大きく書された「午後の紅茶」の文字に対応した「午後の紅茶」の観念が生じることは、明らかであるから、本願商標と引用両商標とは、観念を共通にするものといわなければならない。

本願指定商品の「コーヒー及びココア」が、引用両商標の指定商品「紅茶」と同一又は類似することは、当事者間に争いはない。

また、本願商標並びに引用両商標の「午後の紅茶」及び「AFTERNOON TEA」又は「Afternoon」「Tea」の部分のように特段注目されるような書体等でもない反面、観念を伴う文字標章の場合には、外観で印象付けられ、記憶するというより、むしろ観念で印象付けられ、記憶するのが一般的であるというべきある。

そうとすれば、前示のとおり、本願商標と引用両商標とは、外観上の類似の度合いは多少低いとはいえ、「アフタヌーンティー」との称呼とともに、「午後の紅茶」との観念を共通にするものと認められるから、本願商標は、商品の出所につき引用両商標との関係で誤認混同されるおそれがあり、商標法4条1項11号所定の「類似する商標」に該当するものといわなければならない。