15.「大地からの恵み」の文字商標と「大地の恵」の文字商標の意味が似ているとされ、商標登録されなかった事例

 

本願商標は、「大地からの恵み」の文字を標準文字で書してなり、引用商標は、「大地の恵」の文字を横書きしてなるものである。

本願商標は、「大地からの恵み」の文字からなるものであるところ、該文字に相応して「ダイチカラノメグミ」の称呼及び「大地からの恵み」の観念が生ずるものである。

次に、引用商標は、「大地の恵」の文字からなるものであるところ、その構成中の「恵」の漢字は、「〔音〕ケイ【漢】、エ〈ヱ〉【呉】,〔訓〕めぐむ、(名)めぐみ」の読みがあり、「恩をほどこす、金品を与える、めぐむ、才知のはたらき」等の意味を有する語(広辞苑:岩波書店)であるから、該引用商標の文字に相応して「ダイチノメグミ」の称呼及び「大地の恵み」の観念をも生ずるものである。

そこで、本願商標と引用商標とを比較すると、外観においては、「大」「地」「の」「恵」の文字を共通にし、異なるところは、「大地」に続く「から」の文字と「恵」の送り仮名「み」の文字の有無の点にあるが、引用商標の全ての文字が本願商標に含まれて構成されており、視覚上において両商標は極めて似た印象を看取させるものである。

また、称呼においては、両称呼は、本願商標の第4音、第5音以外の音について、称呼上重要な要素を占める語頭音をはじめとする「ダ」「イ」「チ」「ノ」「メ」「グ」「ミ」の7音を、その配列も含めて同じくし、異なるところは、「カ」「ラ」の2音の有無の点にあるが、該差異音である「カ」と「ラ」の音は、称呼上影響の小さい中間に続けて位置することとも相まって、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調・語感が近似したものとなり、両商標は、称呼において、互いに紛れるおそれのあるものというべきである。

次に、観念においては、本願商標の「大地からの恵み」と引用商標の「大地の恵み」とは、それぞれから生ずる意味、内容がほとんど同一といっていいものであるから、観念は酷似するものであって、両商標は、観念上互いに紛れるおそれのあるものというべきである。