13.「ぴよちゃん」の文字商標と「ピヨ」の文字とひよこの図形商標の意味が似ているとされ、商標登録されなかった事例
本件商標は、右に表示したとおりの構成よりなり、これに対して引用商標は、左に表示した構成よりなるものである。
そこで検討するに、引用商標は、「ピヨ」の文字とひよこの図形とを書してなるから、「ひよこ」及び「ひよこの鳴き声」の観念を生ずるものである。
他方、本件商標が「ぴよちゃん」、「PIYOCHAN」の文字を同書、同大、等間隔に書してなるものである。そして広辞苑などには、「ぴよぴよ」は、「ひななどの鳴く声。」と、「ひよ」は、「(擬声語)雛の鳴く声。」と、「ひよこ【雛】」は、「鳥の子。特にニワトリの子。ひな。」と説明されていることが認められる。
また、一般に「○○ちゃん」という表現は親しみや可愛らしさを表した愛称として用いられているところ、本件商標の出願以前から、菓子類の商品名として、「○○ちゃん」という愛称化した名称が多数用いられていることが認められる。
これらによれば、需要者等は、「ぴよちゃん」、「PIYOCHAN」中の「ぴよ」、「PIYO」の部分は「ひよこの鳴き声」を意味するものと理解し、それを愛称化するものとして、「ちゃん」「CHAN」が付されたものと理解するものとみるのが自然であるから、本件商標からは、「ひよこ」の観念が生ずると認められる。そうすると、本件商標と引用商標とは、「ひよこ」の観念を共通にするものである。
以上を総合すると、両商標は、観念の共通にもかかわらず両商標が類似しないことを裏付ける事情等を認めることもできないので、両商標は、全体としてみて、類似商標であると認められる。