7.「コザック」の文字商標と「コザッキー」の文字商標の意味が似ているとされ、商標登録されなかった事例

 

本件商標を構成する「コザック」の文字からは、古くから特に「勇敢なコザック騎兵」として日本人によく知られているロシヤのコザック民族の観念が生ずることは、証拠に照らしても明らかであり、しかも、右「コザック」に発音、構成の近似する語で他の意味をあらわすものが見当たらないこともあって、本件商標は、右観念について特に、明確、強力な印象を与えるものということができる。

これに対し、引用商標を構成する「コザッキー」の文字は、いわゆる創造語とみるほかない。

ところで、証拠に照らして考えると、近時我が国においても、英語の普及に伴い、英語の名詞の語尾に「Y」又は「ie」を付した形容詞又は愛称がそのまま日本語(外来語)として使用されることが少なくない(例えば、「スピーディー」、「ミルキー」、「クリーミー」)ばかりでなく、その影響を受けて、英語にはそのような用法がないにもかかわらず、外来語の名詞の末尾に「イ」列の長音に変化させて、形容詞あるいは愛称として使用すること(例えば、「スナッキー」)もあると認められる。

一方、前記のように明確、強力な観念を生じさせる「コザック」が存在し、これに構成、発音の近似する語も存在しない状況のもとで引用商標を構成する「コザッキー」の語に接するとき、それが英語には存在せず、本来特定の意味を有しない創造語であったとしても、良く知られたコザック民族となんらかの関連のある語との印象を受けるとみるのが相当で、結局、引用商標からは「コザック民族に関連を有するもの」との観念を生ずるものである。

してみると、前記のとおりロシヤのコザック民族の観念を生ずる本件商標と引用商標とは観念において類似するものとみるのが相当である。