14.    犬を連れた女性の図形商標の見た目が似ているとされ、商標登録されなかった事例

 

gaikannruiji14

本件商標は、女性と思しき人物が、右手にバッグを持ち、犬を連れて右足を上げて走っているかのように見える情景をシルエット風に表し、その下に横線を施した図形とその図形の下部に商標権者の名称の一部と認められる「FRANCESCATREZZI」の欧文字を書してなるところ、その構成中の図形部分は、下部に書された文字部分と一体不可分のものとみるべき特段の理由が無く、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえる。

一方、引用商標は、女性と思しき人物が、右手にバッグを持ち、犬を連れて右足を上げて歩いているかのように見える情景を細線で表し、その女性と犬のそれぞれの下に、横線を描いた図形からなるものである。

そこで、本件商標の図形部分と引用商標を比較すると、両者は、いずれも、女性が右手にバッグを持ち、犬を連れて右足を上げて動いているように見える情景を表した図形であって、本件商標の図形部分がシルエット風に表されているのに対し引用商標が細線で表されている点及び女性の足の開き具合に多少の違いがある点に差異が認められるとしても、いずれも女性、バッグ、犬という複数の同一素材を用い、しかも、女性と犬を右側面から描いていること、女性が右足を挙げていること、女性がバッグを持った右手を後方に挙げていること、女性が左手で犬を紐で繋ぎ連れていること及びその図形の下に横線を施している点を共通にするものである。

そうすると、本件商標の図形部分と引用商標とは、複数の同一素材によって同一の情景を描写してなる点において、構成の軌を一にするものであり、また、外観全体から直ちに受ける視覚的印象が著しく似通っていることから、これらを時と場所を異にして離隔的に観察したときは、両者は、外観上相紛れるおそれのあるものとみるのが相当である。

してみると、本願商標と引用商標とは、外観において相紛らわしい類似する商標である。