7.「F」と「P」からなるモノグラムの図形商標の見た目が似ているとされ商標登録されなかった事例
本件商標は、左に表示した構成よりなり、引用商標は、右に表示した構成よりなるものである。
引用商標は、下記のとおり、欧文字のFとPとを組み合わせて図形化した部分(引用商標図形)と、その下段の「FRANCOTYP-POSTALIA」の欧文字を横書きした部分とからなるものであるが、引用商標図形が上段を占め、その相対的な大きさが下段の欧文字部分のおよそ7~8倍であるその構成態様からみて、引用商標図形が独立して自他商品識別標識としての機能を有し、かつ、引用商標の識別力の中心をなすものであることが明らかである。
そこで、両商標の類否について検討すると、本件商標と引用商標の図形部分とは、ともに、ほぼ同大で、肉太のFとPの各大文字を、Fを左側、Pを右側に配置し、横方向に結合して一体図形化したものであるが、FとPの各文字は概ねその文字の形を留めており、かつ、本件商標は、Fの部分が黒色に、Pの部分が黒色の輪郭線を有する白色に色分けされ、他方、引用商標の図形部分は、Fの部分が黒色梨地状で灰色がかって見え、また黒色の影を付してあり、Pの部分が黒色であるというように色分けされていることから、いずれもFとPの各文字を図形化したもので構成されていることが、一見して明瞭に認識できるものである。
そうすると、本件商標と引用商標の図形部分は、看者の目を引く基本的構成要素に顕著な共通性があるために、その外観全体から受ける印象は著しく似通ったものであり、全体形状が極めてよく似ているものであるから、結局、両商標は外観上類似する商標である。