12.「MPI」と「NPI」の読み方が似ているとされ、商標登録されなかった事例

 

本願商標は、「MPI」の欧文字を横書きしてなり、引用商標は、「NPI」の欧文字を横書きしてなるものである。

本願商標は「MPI」、引用商標は「NPI」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、両者は特定の観念を生じないものであり、その構成文字に相応して前者は「エムピーアイ」、後者は「エヌピーアイ」の称呼がそれぞれ生ずること明らかである(この点については請求人も争わないところである。)。

この「エムピーアイ」と「エヌピーアイ」の両称呼を比較すると、両称呼は、共に同数の5音により構成され、称呼の識別上重要な要素を占める冒頭音「エ」を含め第3音以下「ピーアイ」の配列構成音を共通にし、称呼の識別上印象の薄い中間の第2音において「ム」と「ヌ」の差異があるのみである。

そして、両称呼において相違する音「ム[mu]」と「ヌ[nu]」は、その構成中の子音[m]と[n]がいずれも鼻音であって、しかも子音に帯有する母音[u]を共通にすることから、近似した音であるばかりでなく、他の構成音に比較してその発音も比較的弱い音である。

そうすると、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、両者は全体の語感語調が近似したものとなり、需要者をして称呼上互いに相紛れるおそれのある類似するものである。