13、「QUEEN」と「THE QUEEN」の読み方が似ているとされ、商標登録されなかった事例
本願商標は、「THE QUEEN」の構成よりなり、引用商標は、「QUEEN」の構成よりなるものである。
本願商標と引用商標の類否について判断するに、本願商標は、別紙に表示するとおり、「THE QUEEN」の欧文字を「THE」と「QUEEN」に間に一文字程度の間隔を空けて横書きしてなるものであって、容易に前記した英語を組み合わせてなるものと理解、認識されるものである。
そして、本願商標の「THE」と「QUEEN」の各語は、我が国でも平易な部類に属する英語といい得るものである。のみならず、構成中の「THE」の文字は英語における定冠詞として認識、理解されるとみられるものであって、その構成態様上「UEEN」の部分は、語義上も他の部分と常に一体不可分に把握しなければならない特段の事情を有するものとは理解し得ないから、簡易迅速を旨とする商取引の実際において該商標に接する取引者、需要者は構成中の「THE」の文字部分を定冠詞よりなるものと容易に理解し、これに続く語を強調するためのものであると認識し、「QUEEN」の文字部分に着目し、該部分をもって取引にあたる場合も少なくないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、該「QUEEN」の文字に相応し、「クイーン(女王)」の称呼、観念をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標は、別紙に表示するとおり、「QUEEN」の欧文字を横書きしてなるものであり、該文字に相応して、「クイーン(女王)」の称呼、観念を生ずるものと認められる。
さらに、本願商標は、構成中の「QUEEN」の欧文字部分をもって取引にあたる場合があると認められること上述したとおりであり、両者は、商標の要部と認められるこれら欧文字(部分)の綴りを共通にするものであって、取引者、需要者が時と処を異にしてこれらに接する場合には、両者は当該欧文字(部分)の綴りを共通にする点で外観上近似した印象、連想等を生じさせるおそれがあることも否定しがたいところである。
してみれば、本願商標と引用商標とは「クイーン(女王)」の称呼、観念を共通にする商標というべきである。