6.「RINKU」と「Link」の読み方が似ているとされ、商標登録されなかった事例

 

本願商標は、「RINKU」の構成からなるものである。

審決時(平成18年3月10日)には、「りんくう」という語が、関西国際空港の対岸部に開発整備された地域である「りんくうタウン」又はその略称の意味を持つことは、関西地域のみならず、全国的にも知られていることが認められる。

しかし、本願商標の構成中の「RINKU」の文字部分は、ローマ字読みで、「りんくう」の称呼が生じるほかに、「りんく」(「リンク」)の称呼も自然に生じるものと認められる。

もっとも、りんくうタウンの英語表記として「RINKU TOWN」又は「Rinku Town」が使用され、りんくうタウン内の各施設を英語表記する場合に「りんくう」の語に対応する部分は「RINKU」と表記されている事実があるが、「RINKU」の文字が単独で使用されている例はなく、「RINKU」の文字の後に続く文字部分と相まって「りんくうタウン」などの称呼が生じるものというべきである。

そうすると、本願商標の構成中の「RINKU」の文字部分から「りんくう」の称呼のみが生じるということはできない。

本願商標と引用商標「Link」とは、それぞれ外観において差異を有するが、観念においては比較することができない。

原告による本願商標の使用の態様等取引の実情を総合し、本願商標を全体的に考察すると、本願商標と引用商標は、本願商標の指定役務と同一又は類似の役務に使用された場合には、その役務の提供者につき誤認混同を生じるおそれがあるものと認められるから、本願商標は、各引用商標とそれぞれ類似するというべきである。