1.商標ファストトラック制度について

コロナ過以前は商標登録の出願件数が非常に多く、また特許庁側の要因として審査体制の脆弱性も指摘されていたり、出願人側の要因として、出願書類の不備、主に指定商品・指定役務の不明確性が指摘されていたりと、いろいろな要因が積み重なり、出願から登録査定が通知されるまでに14か月も待たされるということがありました。

そこで、特許庁はこの審査業務の遅延を解消しようと指定商品・指定役務を一定のものに限定した出願については審査待ち期間を6か月に短縮するという商標ファストトラック制度を創設して、審査待ち期間の短縮を図ってきました。

この商標ファストトラック制度により、登録までの期間は短縮され、非常にありがたかったのですが、指定商品・指定役務が一定のものに限定されるため、どうしてもそれでは権利保護に不安が残るという案件では商標ファストトラック制度の適用を断念せざる事態も多々あり、通常の審査期間の短縮を望んでいました。

2.商標ファストトラック制度の一時休止について

それが、コロナ過による経済の停滞に伴い、出願件数自体が低減したこともあるのでしょうし、特許庁の審査体制も改善されたのかもしれませんが、この度、令和4年度末をもって商標ファストトラック制度はいったん休止されることが発表されました。

2022年には既に化粧品やサプリメント、電子機器等の分野では審査待ち期間が最短で3か月とされており、商標ファストトラック制度を利用するより早く審査が終わることもありましたので、早晩、商標ファストトラック制度も廃止されるのではと思っていたのですが、やはりいったん終了ということになったようです。

ただ、ようやくコロナ過からの脱却が指向されて、またコロナ過以前のような活況を呈するようになるかもしれんせんので、「廃止」ではなく「休止」という運びになったのでしょう。

いずれまた審査待ち期間が1年を超えるようなことが来るかもしれません。
商標登録をお考えの際は早めの出願をご検討ください。

商標ファストトラック制度休止の詳細は特許庁ウェブサイトへ

ファストトラック審査 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)