新米の季節です。
さて、一般財団法人穀物検定協会が「米の食味ランキング」を発表しています。
今年、最高ランクの「特A米」認定を受けた銘柄は44銘柄に上り、いわゆるブランド米の間でも熾烈な競争が繰り広げられているようです。
今回は、種苗法上の品種登録による名称の保護と、商標登録による名称の保護の違いからブランド戦略について考察します。

1、種苗法上の名称の保護と商標法上の名称の保護(商標登録)との違い

①種苗法

まず、ある品種「A」について種苗法の品種登録をすると、その品種「A」の育成者が原則25年間は独占して生産できる権利が得られます。
そして、その品種については「A」という名称を表示しなければならないので、結果として、上記期間内は「A」という名称を独占できることになります。

②商標法

しかし、商標法上は、品種登録された品種名は上記期間経過後はその品種の普通名称になるとされています。
ここで、問題は、商標法上は指定商品の普通名称は商標登録できないとされていることです。
つまり、品種登録をして保護期間が経過すると、その名称を商標登録することはできないのです。
商標登録は何度でも更新できる、まさにブランド保護のための仕組みですから、いつまでも独占権を確保したいのであれば、断然商標登録すべきということになります。

2、「特A米」の名称の保護態様

この記事の執筆に際してざっと見てみると、種苗法の品種登録だけで商標登録をしていないもの、商標登録をしているものといろいろあるようです。
中には、品種登録後、普通名称化して商標登録できなくなったと推測されるものもあります。
しかし、近年のブランド米はさすがに商標登録をしっかりしているようです。
例えば、CMで見られた方もたくさんおられると思いますが、第4706063号「ななつぼし」、第5199079号「ゆめぴりか」はちゃんと商標登録されています。

中でも注目はこちらです。
今年、初めて「特A米」と認定された青森のブランド米で「青天の霹靂」というお米があります。
青森県として「特A米」認定は悲願達成だったようで、県知事が目に涙を浮かべて喜びを表していたのが印象的でした。
開発にも多大な苦労をされていたようで、本当におめでとうございました。
この「青天の霹靂」、ブランド戦略も相当に練られているようで、ニュースでもいくつか取り上げられていたのでご覧になった方も多いのではと思います。
そして本題。
商標登録はどうなっているのか。
やはり、しっかりしています。
まず、文字だけの商標として、第5739656号「青天の霹靂」が登録されています。
さらに、パッケージのイメージとして、
青天の霹靂

 

 

 

 

 

 

 

 

が登録されています。
しかも、この最後の商標は指定商品「米」だけでなくお菓子や清涼飲料、アルコール類と、青天の霹靂を使用した加工商品まできちんとカバーしています。
この丁寧な商品類の指定を見ていると青森県のブランド保護に対する意気込みが見えてくるようです。

3、まとめ

このように、一口にブランド保護と言っても、それを達せするための法制はいろいろとあります。
しかし、ブランド保護法としては保護期間の更新を重ねていける商標登録が一日の長があるのではないでしょうか。
ブランド保護を真剣に考えているのであれば、ぜひ青森県の様に幅広く商標登録してみませんか。