先日マクドナルドの新しいハンバーガーの名称が決まったと報道されていました。
公募していたハンバーガーの名称、決定したのは「北のいいとこ牛(ぎゅ)っとバーガー」だそうですが、この名称の提案者は複数人が該当したということです。

「北のいいとこ牛(ぎゅ)っとバーガー」という名称はオリジナリティーがあり、私には思いつきませんが、注目すべきは、この名称の提案者が複数いたということです。
全く同一の名称を提案したのかまでは分かりませんが、同じことを考え付いた人が何人もいたというのです。

商標登録は基本的に早い者勝ちです。
つまり、同じかまたは類似する名前を先に特許庁に出願した方が商標登録を受けられるということです。
これを先願主義と言います。
商標法では次のように定められています。

(先願)
第八条
同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に二以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。

現在、1年間に特許庁へ出願される商標の数は約12万件で、登録商標全体の数は約170万件だと言われています。
新しく商標登録を希望する場合は、これらの登録商標と先出願の商標と同一または類似するものであってはならないということです。

とはいえ、名称の選択肢なんて星の数ほどあり、自社の考えた名称はオリジナルのものだから他社の商標と類似するなんてことは無いだろうと考える方も少なくないと思います。
しかし、実際に先行登録商標の調査をしてみると、類似はもとより、同一の名称が既に登録されていたりするものなのです。

なぜ、同じような名称を何人も思いつくことになるのか。

1つには、指定商品・指定役務が影響することと思います。
商標登録は、その商標を用いて販売する商品、提供するサービスを出願時に指定しなければなりません。
この商品・サービスを指定商品・指定役務と言います。
商品やサービスの魅力を的確に伝えようとすると似通った表現になるのではないでしょうか。
今回のマクドナルドのハンバーガーの名称に関して複数の人が同じようなことを思い付いたというのもハンバーガーという商品の魅力を的確に伝えるという観点からすると、納得がいくように思われます。

これから商標登録をとお考えの皆様。
折角考えた商品やサービスの名称なのですから、他社が先に出願しないうちに、出来るだけ早めに出願することを勧めします。